過去の受賞作品
堤幸彦(映画監督・演出家)・大根仁(演出家)・
平川雄一朗(演出家)・小原信治(作家)に加え、
最終審査員の方々からの総評をご紹介いたします。
グランプリ受信作品
制作費3,000万円(相当)で映画制作+賞金100万円
- 作品タイトル
- ミラクルシティ コザ
- 応募者/監督
- 平 一紘
- 受賞者コメント
-
この度は、未完成映画予告編大賞のグランプリ、堤幸彦賞に選出して頂き、本当にありがとうございます。
これまで全然結果を出せず焦っていました。映画監督になりたくて、3年前に会社を辞め、色んな人に支えられて沖縄の映像業界に居させてもらっています。僕を信じてくれた仲間たち、そして沖縄で撮るという大冒険を選んでくれた未完成映画予告編大賞の皆様。皆様のおかげでやっと、映画が撮れます。スタートラインに立たせて頂いたこと本当に感謝致します。
「ミラクルシティ コザ」は、コザの歴史や、沖縄ロックの歴史、米軍の当時の想い、そして今の魅力をたくさん盛り込み、世界標準のエンターテイメントに仕上げたいです。「エンタメの財産は、過去にある」と前の会社のボスにヒントを頂いて作品の軸に致しました。
皆に恩返しがしたいです。必ず良い映画にして、沖縄のエンタメが世界に通用することを証明するので、「ミラクルシティ コザ」を引き続きよろしくお願い致します。
- 受賞作品について
-
第3回目にして、史上最大の激戦でした。まるでバトルロイヤルのような様相の中、平一紘監督の「ミラクルシティ コザ」が見事にグランプリを獲得されました。平一紘監督、本当におめでとうございます。
夢を見失っていた青年が、元ロックスターのおじいちゃんに体を乗っ取られて70年代の沖縄コザにタイムスリップするハードロック・ムービー。日本返還前の沖縄という複雑なテーマを主題にした社会性、全編に渡って繰り広げられる往年のロック。躍動感溢れるミュージカルシーンと突き抜けた企画の爆発力がグランプリ獲得の決め手となったかもしれません。
70年代をどう表現するのか、街をどうやったら再現できるのか、衣装とヘアメイクが大変じゃないか、美術はどうする、アメリカ兵もいっぱい出てくるぞ……と、限られた予算の中での苦闘が待っていると思いますが、平一紘監督とともに知恵を絞って、とんでもない名作を誕生させるべく汗をかきたいと思っています。平一紘監督、何とぞよろしくお願いいたします。
第1回目が「高崎グラフィティ。」、第2回目が「猿楽町で会いましょう」と、関東圏の作品が連続してグランプリ受賞していましたが、第3回目の舞台は、いよいよ沖縄県へと移ることになります。MI-CANにとっても大冒険です。沖縄県の皆様、ぜひ「ミラクルシティ コザ」に、お力をお貸しくださいませ。
「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」事務局リーダー
株式会社オフィスクレッシェンド取締役副社長COO
神 康幸
審査員賞
堤 幸彦 賞
賞金10万円
受賞者コメント |
この度は、未完成映画予告編大賞のグランプリ、堤幸彦賞に選出して頂き、本当にありがとうございます。 これまで全然結果を出せず焦っていました。映画監督になりたくて、3年前に会社を辞め、色んな人に支えられて沖縄の映像業界に居させてもらっています。僕を信じてくれた仲間たち、そして沖縄で撮るという大冒険を選んでくれた未完成映画予告編大賞の皆様。皆様のおかげでやっと、映画が撮れます。スタートラインに立たせて頂いたこと本当に感謝致します。 「ミラクルシティ コザ」は、コザの歴史や、沖縄ロックの歴史、米軍の当時の想い、そして今の魅力をたくさん盛り込み、世界標準のエンターテイメントに仕上げたいです。「エンタメの財産は、過去にある」と前の会社のボスにヒントを頂いて作品の軸に致しました。 皆に恩返しがしたいです。必ず良い映画にして、沖縄のエンタメが世界に通用することを証明するので、「ミラクルシティ コザ」を引き続きよろしくお願い致します。 |
---|---|
受賞作品について |
今回は「実りゆく長野」「ミラクルシティ コザ」の2作品が甲乙付け難く、両作を個人賞として選んだ。 「実りゆく長野」 最初はそうと分らないが、次第に主人公の真っ直ぐな心模様が、育てることが大変なりんごにオーバーラップしていく構成が良い。長野の風景も存在感がある。 「ミラクルシティ コザ」 最高!20代の監督が70年代をテーマにしたことにまず驚いた。普天間の問題が起きている今、沖縄の真実に真正面から目を向けていることを評価する。 堤 幸彦(映画監督・演出家) |
大根 仁 賞
賞金10万円
平川 雄一朗 賞
賞金10万円
受賞者コメント |
栄えある賞を頂き、光栄です。総評での平川監督の「物語の中に人間の生きる力があり」という言葉が何よりの励みです。何ものにも囚われず、ただ生きていること、その尊さを信じたい。キャスト・スタッフへの感謝と、審査員の皆様のお言葉を胸に、グランプリ獲れなかった自分もこの親子のようにしぶとく逞しく生きて本編製作を実現してみせます。 という、予告編大賞への最大の感謝と負け惜しみを以って!ありがとうございました! |
---|---|
受賞作品について |
予告編で心揺さぶられる完成度の高さに本編をみたくなったので選ばせていただきました。 社会的マイノリティーとされる母と子の物語の中から、現代日本社会に蔓延する、様々な問題を見るものに考えさせ、その中で必死に強く逞しく生きていく母と子の絆に励まされ、感動させられる物語になるのではないか?と想像しました。 何よりも、この作品の中に登場する人々が生きている姿をスクリーンで見てみたい、特に脳に障害のある女の子の表情が素晴らしかったです。 平川 雄一朗(演出家) |
小原 信治 賞
賞金10万円
受賞者コメント |
一連の筋書きはあったものの、そのスピード感や台詞の選択、気持ちの強さなど、何通りも試しながら俳優の皆さんと延々カメラを回していました。全貌の見えない状況の中、極寒の時期に最後までお付き合いいただき本当に感謝しております。予告編終盤のキャッチコピーは、僕自身が長い時間をかけて突き詰めていきたいテーマです。今回の結果を胸に、これからも作り続けていきます。この度は素晴らしい賞をありがとうございました。 |
---|---|
受賞作品について |
現代を風刺したオフビートの渇いた笑いが〈夢追い人、故郷に帰る〉という普遍的なストーリーに転調することによって一気に叙情的になっていく。切り取ったセリフのひとつ一つ。表情。風景。音楽。それらをひとつの旋律に乗せていくアンサンブルの仕方が本当に上手いと思いました。『那須野が原の花火』。予告編だけで泣かされてしまったのは、このコンクールでは初めてのことでした。 小原 信治(作家) |
MI-CAN 男優賞
賞金10万円
松尾 実役/竹内 一希さん(まんじゅう大帝国)
プロフィール |
1994年、東京都生まれ。「まんじゅう大帝国」として活動中のお笑い芸人。 日大藝術学部在学中、落研に所属し、数々の賞を受賞。その後、学生落語界で出会った現在の相方・田中永真とコンビを組み、漫才師の道へ。結成直後の「M-1グランプリ2016」にて、アマチュアながら3回戦進出し、注目を集める。 芸人としては、「ENGEIグランドスラム」「ネタパレ」(ともにCX)、「日曜チャップリン」(TX)などに出演。また、表現力の豊かさを買われ、第5回 Brain Online Video Awards「ネタ帳」、「ウルトラマンR/B」(TX)などにも出演。今後、芸人と役者の両ジャンルでの活躍が期待される。 |
---|
受賞者コメント |
担当マネージャーである八木監督に映画の予告編に主演で出てくれませんかと言われ、よく考えずに「主演ですか!すげえ!」と喜んで参加したのが懐かしいです。 大した演技経験も無く、不安でいっぱいでしたが、八木さんや共演者の皆さんのおかげでこのような素晴らしい賞まで頂けて、今は感謝でいっぱいです! 将来的にはテレビ、ラジオの冠番組と主演のドラマ、映画を同時にこなす超人的な活躍を目指して頑張ります! |
---|---|
受賞作品について |
八木順一朗監督「実りゆく長野」で、秘かに芸人の道を目指しているリンゴ農家の息子・実役を見事に演じられました「竹内一希」さん、MI-CAN男優賞おめでとうございます。各審査員からの最多得票を獲得された結果です。 朴訥な人柄が似合い、本当に長野の田舎の青年かと見えていたのに、やけに芸人の演技がうまいなぁと思っていたら、竹内さんは「まんじゅう大帝国」というコンビの芸人さんでした。不明を恥じる次第です。本当に失礼いたしました! ラストシーンの笑顔、なんと魅力的なことでしょうか。 そして、笑いを追求するという道が、演技の道に通じるのだと改めて実感した次第です。これも何かのご縁ですので、ぜひ「まんじゅう大帝国」のライブを拝見したいです。そして、役者としての新たな人生にも非常に期待しております。 「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」事務局リーダー |
MI-CAN 女優賞
賞金10万円
井浦 亜矢子役/和泉 妃夏さん
プロフィール |
劇団四季研究所出身。ホンマルラジオ東京Happyステーション代表。 小型船舶一級/山形つや姫親善大使/尾瀬の郷親善大使/岩根沢神楽親善大使 <TV> NHK大河ドラマ「北条時宗」レギュラー出演、NHK金曜時代劇「慶次郎縁側日記」レギュラー出演、NHKドラマ「逃げる女」他、CM、バラエティect <映画>「秋深き」、1人28役「愛のレシピ~卵ランド~」、「踊る!ホラーレストラン」、「脱皮」他 <舞台> 数百ステージ <特技> 臓器パフォーマンス <ライフワークステージ> 1997年から自作自演一人芝居。2017年から卵々という名でオリジナル落語。幼稚園から老人ホームまで各地パフォーマンス活動。福祉、ボランティア活動。 |
---|
受賞者コメント |
心より感謝いたします。結果は残念でしたが、このような評価をいただけた事は、私自身の勇気になりました。きっと想像以上に背負いながら作った方がいい作品なのだと受け止め、諦めず自力でも完成させたいと思ってます!「皆ただの命であること」を訴えたこの作品は、道に迷った傷が癒えない人々へ伝えたい作品です。今、世の中に大切な問題だと感じています。これを読んで下さった皆様、お力貸していただけたら幸いです。 |
---|---|
受賞作品について |
渡邊世紀監督「親不知、石ころの詩」で、怪演とも言うべき凄まじい演技で挑まれました、亜矢子役「和泉妃夏」さん、MI-CAN女優賞受賞おめでとうございます。各審査員より圧倒的な評価が届きました。 脳に障がいを持つ娘を、誰が何と言おうが守り抜く、その愛の形は強烈なインパクトでした。社会から疎外されていく親子。なのに物語が進んでいくにつれ、狂おしいほどに2人に寄り添いたくなり、逆に正常だと思い込んでいる僕たちこそが異常なのではないか……と、胸に涙の刃が突き刺さります。 幼い娘と踊りながら散歩する場面は、MI-CAN史上でも、最も記憶に残る名シーンだと言えるのではないでしょうか。 ささやかな賞でございますが、受け取っていただければ幸いです。そして、和泉妃夏さんのますますの飛躍を、心よりお祈りいたします。 「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」事務局リーダー |
審査員特別賞
賞金5万円
受賞者コメント |
悔しい。ただただ悔しい。たくさんの方に評価していただき本当にうれしいのですが、やはり悔しくてたまりません。長編にしたかった。いろんなことを伝えたかった。きっと、何かが足りなかったのだろうと反省し、次回に活かします。 しかしこの作品はここで終わり、とは思っていません。一度書いてしまったからには登場人物にも人生があります。彼らの人生をみなさんに見ていただくため、どうすればいいか考えていこうと思います。 |
---|
受賞者コメント |
審査員特別賞を頂き、ありがとうございます。コンテストに参加することで自分の可能性を模索することができたと思います。思い描いたものを表現しきれず残念な部分もありますが、頂いた賞を励みに今後も頑張りたいと思います。ありがとうございました。 |
---|
受賞者コメント |
審査員特別賞ありがとうございます。この未完成映画予告編大賞という企画を通して、本当に貴重な経験をさせていただきました。「ながと」に関わってくれた、キャスト、スタッフ、山口県長門市の方々に感謝しております。 ここからが、新たなスタートですので、必ず本編を完成させます。今後とも、気にしていただけたら嬉しいです。ありがとうございました! |
---|---|
受賞作品について |
第3回目の今年は、3作品に授与させていただきたいと思います。 髙村剛志監督の「その閃光が初めに光ったのは、福岡」。核ミサイル着弾までの5分間を群像劇で描く作品。サスペンスではなく、あくまでもヒューマンドラマにフォーカスした着想力に脱帽です。 藤原康二郎監督の「東京ピルグリム」。地球探査にやってきた小さな宇宙人と、年老いたおばあちゃんの心温まる物語。CGキャラクターが躍動する、こんな高度な作品がMI-CANに応募されてくるとは! 石田清志郞監督の「ながと」。圧倒的な映像の美しさと、登場人物たちの透明感に痺れました。山口県長門市にまで足を運ばれ、魂を込めた作品を産み出されたことに尊敬の念を覚えます。 3作品ともに、各審査員からまんべんなく高評価を獲得されました。グランプリであっても、まるで不思議ではないクオリティだったと思います。とても残念に思われることだと想像いたしますが、せめて、この賞を受け取っていただければ幸いです。 「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」事務局リーダー |
審査員による総評
脚本家岡田 惠和
毎年とても楽しみにしております。
今年全体としては少し大人しい印象を持ちました。でも皆さん好感度高いな。死んでも認めたくないというような作品はなかった。
トリッキーな設定の作品では、もっと中身をオーソドックスに王道で。逆に、王道な設定では芝居やセリフをもっともっと練りこんで。そんなことを思いました。私としては「那須野が原の花火」を1位に選びます。そして「親不知、石ころの詩」「東京ピルグリム」の2つがそれにつづきます。
3本とも、まだ物足りなさは残りますが、好きだし、本編観てみたい作品でした。
株式会社KADOKAWA
代表取締役 副社長執行役員井上 伸一郎
今年も力作が揃いました。
特に気になったのが、髙村剛志監督の「その閃光が初めに光ったのは、福岡。」です。筒井康隆の「霊長類、南へ」、松本清張の「神と野獣の日」を思わせるテーマ設定。残された人生の5分間を自分ならどう使うだろう、と観た者に考えさせる予告編に仕上がっています。
藤原康二郎監督の「東京ピルグリム」は何といっても小さな宇宙人を動かした映像テクニックが光ります。
石田清志郎監督「ながと」。亡くなった父が現われたことで青年の日常がどう変わるのか、気になる予告編でした。青年の現状をもっとはっきり描けば、更にいい予告編になったと思います。ヒロインが可愛い。
ヤマモトケンジ監督の「三浦ルーメン」は全盲の中二病少女という主人公の設定が魅力的でした。ぜひ、本編が観てみたい。
高島優毅監督、渡邊世紀監督の作品も、設定が魅力的でした。
株式会社TBSテレビ
ドラマ制作部
プロデューサー植田 博樹
このクオリティーの予告を作るということは、手間も予算もコネも機材も含めて、並大抵のことではありません。まずは、このクオリティーの予告編を完成させたというそのことに深い敬意を表したいと思います。
この賞も三回目となり、プロ、セミプロの応募が目立ってきました。ストーリーラインのクオリティーも高いレベルで拮抗しており、採点をするのも、今までの中で一番苦労致しました。
個人的な嗜好として、「これ、どうなっちゃうの」という企画性を重視しました。うまく無難に作れるであろうものより、なにかしらはみ出した新しい何か、に惹かれました。
また、プロフィールの作品PR欄も熟読いたしました。予告として、作品PRポイントをうまく突いたものに、惹かれたのも事実です。
「親不知、石ころの詩」「北鎌倉のリスザルたち」「その閃光が初めに光ったのは、福岡。」「三浦ルーメン」「ミラクルシティ コザ」などは、どういう風に作るのか、未知数な部分に期待を込めて、高い得点をつけました。「東京ピルグリム」「実りゆく長野」などは、斬新ではないが、王道として是非完成形を見てみたいという思いに突き動かされました。
他の作品もゼロ点はなく、今回、もし入賞しなくても、自信を強く持っていただいてよいと思います。どんな企画もたった一人の強い思いからスタートします。いつか今回作った予告編を元ネタに、映画化や連続ドラマ化の話が舞い込むかも知れません。そもそも、今回、選考者の誰かが強く感銘を受けたから、この最終審査に勝ち残られたのです。
自らのオリジナリティー、演出力に更なる磨きをかけ続けてください。漫画や小説原作の映像化ばかりの閉塞した状況を、共に突破していく仲間として、いつか直接お目にかかれることを、心から祈念しております。
映画プロデューサー・小説家 川村 元気
どの予告編も映像技術、編集技術はしっかりしていて、物語のキャッチーさを感じるものが多かったように思います。
ただこれはあくまで予告編であり、やはりそこに作り手が技術やキャッチーさを超えて根本的に作りたいなにかがあるのか、ということが長編として作っていくときの鍵になるのだろうなとも感じました。
長編として、いずれかの作品に再会できるのを楽しみにしています。
映画パーソナリティー伊藤 さとり
今回は全体的に、予告編だけで物語の全貌が分かってしまう作品が多かった気がしました。予告編はあくまでも“一体、どんな展開を迎えるのだろう?”という鑑賞欲求を掻き立てるものであり、予告編でラストまで想像出来るなら映画本編の必要性は無くなってしまいます。画のセンスの良いものや、ストーリーの斬新さが光るのに、説明しすぎで残念なものもありました。
その点を踏まえた上で、橘潤樹監督の「北新宿の虫かご」は、タイトルも意味深でありながら、過去に囚われた主人公の心を言葉で表現し、前半は友情物語かと思いきや、中盤で一気にscience fictionへと持って行く斬新さが際立っていました。過去を繰り返し体験する主人公が“後悔”からの出口を見つけられずもがく姿とラストカットの“壁に描かれた目”という言葉ではない絵からのメッセージ性もセンスの良さが伺えました。視覚的効果を駆使した編集力も評価のポイントでした。
映画監督・演出家堤 幸彦
最終選考17作品は、とにかく、尋常ではないレベルに到達していた。
未完成映画予告編大賞も3回目になるが、年々、エネルギーが高まっているような気がするのだが、それは私だけだろうか。この中で、グランプリ作品1作品しか制作できないとは、なんと罪作りなコンテストなことか。
できるならば、全作品、完成した映画を見てみたい。特に感動した作品が2作品あり、事務局に無理を言って、今年は「堤幸彦賞」を2本もらっていただくことにした。
「ミラクルシティ コザ」は、70年代の沖縄を舞台にしていて、本来ならば、これは同時代を生きていた私のような世代がトライすべきテーマ。それを20代の方が構想され、難しい問題と相対峙されようとしていることに、恐れ入った。
「実りゆく長野」は、真っ直ぐに生きよう、じっくり夢を叶えようという、正に現代の日本に必要なメッセージが突き刺さった。長野の、美しい風景の切り取り方も見事。知られていない「地域」にスポットライトを当てるという意味で、MI-CANらしい。いや、この作品はRINGOだったか!
演出家平川 雄一朗
今回、拝見させていただいた作品の数々、予告編という割には、自分が興味をそそられる作品が少なかったように思いました。
そんな中で選ばせていただいた、いくつかの作品には、見る者を引きつける何かが作品の中に込められていて面白かったです。
「その閃光が初めに光ったのは、福岡。」は、予告だけで涙が出そうになりましたし、「Mampong Dhaka Atitlan from the other side of the world」は、自分たちが普段目にすることのない外国の人々に焦点をあて且つ我々の生活とのつながりも感じさせて、映画となった時にどのような作品になるか興味をそそられました。
「親不知、石ころの詩」は、設定から破れていて、物語の中に人間の生きる力と問いかけがあり、もっと見たいと思わせてくれる素晴らしい作品でした。今は亡き樹木希林さんと、一緒に仕事させていただいた時、物語には、序破急がないとねと言われたことを思い出させてくれた作品です。
作家小原 信治
優れた企画書から必ずしも優れた作品が生まれて来たかどうかは分かりませんが、優れた作品の企画書には必ず〈新しい鉱脈〉があるような気がします。今年も50本の予告篇という企画書に内包された様々な〈新しい鉱脈〉に圧倒されました。
正直どれも捨て難いと悩みながら、最終的には匿名性の高い地方都市を舞台に若者の生き辛さを描こうとする作品が多かった中、同ジャンルでは頭ひとつ抜けていると感じた「那須野が原の花火」。親子愛ってやさしい狂気だよなと心にあたたかい隙間風が吹いた「親不知、石ころの詩」、祖父と孫のドラマを通じて沖縄でしか描けない土地の歴史と宿命を高いエンタメ性で描こうとしていた「ミラクルシティ コザ」の3作品に絞って最後まで悩みました。
「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」事務局リーダー
株式会社オフィスクレッシェンド取締役副社長COO神 康幸
東京でも桜が満開となる中、第3回「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」のグランプリ発表の日を迎えました。
「サクラサク」。この言葉を本当はもっと多くの応募者の方に伝えたかった。
事務局にとっては1年間の総決算ですので喜びの日でもあるはずなのに、胸が苦しい。正直、今、そんな思いです。なぜならば、第3回の応募作は、どの作品も素晴らしく、レベルも高く、すべての審査で長時間を費やしました。どの作品がグランプリであっても不思議ではない……。
混沌とした状況の中、ラストコーナーから一馬身抜け出たのが、沖縄県在住の映像ディレクター・平一紘監督の「ミラクルシティ コザ」でした。「堤幸彦賞」とダブル受賞です。29才にして、この時代を超えた発想力は拍手喝采せずにはいられません。
「甲乙つけがたい」と悩んだ結果、堤監督は自腹を切って「堤幸彦賞」をもう1作品に。八木順一朗監督の「実りゆく長野」が受賞されました。また、主演された竹内一希さんがMI-CAN男優賞も獲得されました。
「大根仁賞」は、橘潤樹監督の「北新宿の虫かご」。
「平川雄一朗賞」は、渡邊世紀監督の「親不知、石ころの詩」。主演された和泉妃夏さんがMI-CAN女優賞と、これまたダブル受賞です。
「小原信治賞」は、大金康平監督の「那須野が原の花火」。
上記作品と共に最後までグランプリを争った3作品には、審査員特別賞を。高村剛志監督の「その閃光が初めて光ったのは、福岡」、藤原康二郎監督の「東京ピルグリム」、石田清志郞監督の「ながと」の3作品です。
予算の都合上、悲しいかな、MI-CANは1作品しか制作できないのですが、受賞された作品とのご縁を大切にして、様々な可能性を今後も探っていきたいと思っています。
そして最後に。「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」に応募された全員の方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。どれほどの時間と労力をかけられたことでしょうか……。
おかげさまで第3回開催も、波瀾万丈ではありながら、皆様の爆発的なエネルギーで「完成」にたどり着くことができました。本当にありがとうございます。
また、宝石のような「未完成の予告編」に出逢える日を夢見ています。
この度は、名誉ある賞をいただき、ありがとうございました。自身の担当するタレントと一緒に、作品を作り上げるという時間は、僕にとって宝物のような時間でした。今回は、グランプリ受賞には至りませんでしたが、いつの日にか、この作品を“実らせる”べく、これからも“マネージャー”として、映像制作を頑張っていきます!この度は、堤幸彦賞、ありがとうございました!