過去の受賞作品

堤幸彦(映画監督・演出家)・大根仁(演出家)・
平川雄一朗(演出家)・小原信治(作家)に加え、
最終審査員の方々からの総評をご紹介いたします。

グランプリ受信作品

制作費3,000万円(相当)で映画制作+賞金100万円

グランプリ受信作品
作品タイトル
猿楽町で会いましょう
応募者/監督
児山 隆児山 隆
受賞者コメント

素晴らしいスタッフ、キャストとともに大切に作った作品が、グランプリを獲れたことは本当に本当に嬉しいです。

みっともなく映像業界にしがみついてきた自分ですが、ようやくスタートラインに立てました。これまでの思いを本編製作にぶつけたいと思います。

最後に、関係者の皆様、ありがとうございました!

受賞作品について

予告編として応募され、一見したときから、この作品は突き抜けた空気感があると感じていました。その後、弊社クリエイター、映像業界の著名人の皆様の審査を経ましたが、ほぼ全員が高評価で、正に満場一致でグランプリ獲得となりました。

児山隆監督、おめでとうございます。

若手カメラマンが街角で知り合った可憐な読者モデル。突然、子猫のように自宅マンションに転がり込んできて、すぐさま恋人関係に。「好きだよ」と純真に告げられ、二人は甘い季節へと。しかし、どうも彼女の行動が怪しい。男の影が見え隠れする。彼女は嘘つきなのかそれとも……。恋に翻弄される複数の男女。それが渋谷・猿楽町で繰り広げられる展開。

各メンバーから「続きが見たい」「彼女の嘘の理由を見てみたい」との声が相次ぎました。

さて、その続きは児山監督に作っていただきましょう。

予告編でもポテンシャルが爆発している、センス溢れるカットの数々。思わず吸い込まれてしまいそうな役者さんたちの演技。それを、次は本編として、さらに高みへと登っていただきたいと思います。

「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」事務局リーダー
 株式会社オフィスクレッシェンド取締役副社長COO
 神 康幸

審査員賞

堤 幸彦 賞

賞金10万円

堤 幸彦 賞
作品タイトル
高円寺えれじぃ
応募者/監督
  • 土山 晃憲土山 晃憲
受賞者コメント

この度はこのような映えある賞に選出していただきまして、ありがとうございました。

高円寺の街を不眠不休で駆け抜けた二日間は、最高のお祭りでした。現場のヒリヒリ感がうまく映像に反映できたと思います。

撮影の大久保君はじめ、出演者、高円寺の仲間たち、本当にありがとうございました!
「高円寺えれじぃ」をこのまま未完で終わらせるわけにはいきません。化物映画になって皆様の前に返り咲けるよう頑張りたいと思います。

受賞作品について

1970年代以降、変わらぬ高円寺の人間模様に安心した。

行き場のないバンドマンと突きつけられる事件の中間に位置する少年の存在がとにかく気になる。

映像技術もプロはだし。音と音楽も臨場感がある。

そこに住んでいる視点でなければ作りえない迫力。

でも『仲間ウチの余興』では済まされない凄味が、素晴らしい。

とにかく見てみたい!

それに尽きる。

堤 幸彦(映画監督・演出家)

大根 仁 賞

賞金10万円

大根 仁 賞
作品タイトル
ヒノのヒゲとレインコート
応募者/監督
  • 八幡 貴美八幡 貴美
受賞者コメント

自分が信じたことをやる。

私とスタッフ・キャストの中ではグランプリだと思っています。

大根監督のように支持して下さる観客がいるならきっと本編に向かえます。

漫画原作ばかりの日本の映画業界を小さな一歩から変えて行きたい。

`Originality Revolutionary Timeless`石岡瑛子さんの言葉を胸にこれからも撮り続けます。

大根仁賞ありがとうごいざます。

受賞作品について

特に「ヒノのヒゲとレインコート」は、予告だけで完成され過ぎているような気もしましたが、おそらく本編になったら、”その先の裏切り”も用意されているのではないかと・・・。

何よりフェチズムという、プロでも難しい描写に真っ向から挑む姿勢が素晴らしい!はっきり言ってダントツのクオリティでした。

本イベントのコンサバな性格上、グランプリは難しいかもしれませんが僕は、全面的に支持します。

大根 仁(演出家)

平川 雄一朗 賞

賞金10万円

平川 雄一朗 賞
作品タイトル
青い、森
応募者/監督
  • 井手内 創井手内 創
  • 内山 拓也内山 拓也
受賞者コメント

井手内 創

僕は本当に幸せ者だなと今作を通じて実感しました。機会を下さった関係者の皆さまに、まず深く感謝致します。

石井裕也監督が"グランプリは通過点"と言われていたことを内山から教えてもらった時、感銘を受けました。例えどんな賞を獲ったとしても、その先で創り続けるしかない。創り続けた先で、常に勝負は待っている。

あの日々を僕は絶対に忘れない。あの日あの時の皆んなの顔を、絶対に忘れない。

皆んな、本当にありがとう。

内山 拓也

悔しいです。

スタッフ、キャスト、並びに審査員の皆様、この作品に関わってくれた全ての方々に感謝申し上げます。

受賞作品について

「人生は冒険だ」という雰囲気で始まり、青春ロードムービーかと思いきや、苦悩する若者の動と雄大な自然の静、生と死などを対象的に描きながらサスペンス要素を含み、死生観まで感じさせる。

てんこ盛りな予告。

映画スタンドバイミーを彷彿とさせ、予告だけでなく本編を見てみたいと思い選ばせていただきました。序破急の破れがあれば面白い作品になると思います。

平川 雄一朗(演出家)

小原 信治 賞

賞金10万円

小原 信治 賞
作品タイトル
猿楽町で会いましょう
応募者/監督
  • 児山 隆児山 隆
受賞者コメント

素晴らしいスタッフ、キャストとともに大切に作った作品が、グランプリを獲れたことは本当に本当に嬉しいです。

みっともなく映像業界にしがみついてきた自分ですが、ようやくスタートラインに立てました。これまでの思いを本編製作にぶつけたいと思います。

最後に、関係者の皆様、ありがとうございました!

受賞作品について

猿楽町の裏通りで人が歩いているのを見たことがありません。通るたびにいつも「どんな人が生きているのだろう」と感じていた東京でも不思議な場所でした。個人的な話ですが。そこを切り取って「確かに、猿楽町だったら今もこういう90年代っぽさを感じさせる少女が生きているかもしれない」と思わせてくれた点がひとつ。ただ最終的には「この役者さんをスクリーンで観てみたい。」というのが今回は期せずして僕の賞選びのポイントになってしまいました。『猿楽町で会いましょう』と『ヒノのヒゲとレインコート』の2本はそのぐらい主演の方の魅力が(もちろん監督の演出力により)他と比べて突出していたような気がします。これもまた個人的な話なのですが。

小原 信治(作家)

MI-CAN 男優賞

賞金10万円

MI-CAN 男優賞
作品タイトル
青い、森
応募者/監督
  • 井手内 創
  • 内山 拓也
波役/野川 雄大さん
野川 雄大さん
受賞者コメント

初代・男優賞をいただき光栄に感じております。受賞の知らせを監督からいただいた時、ほんの少し恩返しが出来たかもしれないと言われました。この作品を陽のあたるところまで連れていくと意気込みクランクインしたのは4年も前のことです。紆余曲折を経て「青い、森」公開最期の希望の光として本コンペティションに挑みました。悔しい。この作品に関わった全ての人に恩返しをしたい。野川雄大を覚えてください。

プロフィール

1992年生まれ。鳥取県出身。映画、舞台、MV等で活躍する若手俳優。

大学進学を機に上京するが、小林政広監督作品「春との旅」の仲代達矢に憧れ役者を志す。映画出演作品に『トーキョービッチ,アイラブユー』(2013年・第14回東京フィルメックス コンペティション部門 スペシャルメンション受賞)、『ヴァニタス』(2016年・PFFアワード2016 観客賞受賞/第41回香港国際映画祭 招待上映)など。舞台出演作品に浮間ベースプロジェクト第一回公演『ハアトフル』吉田光希ver.(2013年)、浮間ベースプロジェクト第二回公演『ラブストーリー』倉本朋幸ver.(2014年)など。MV出演作品に『ふとして光は』FromEast(2014年) 、『lemonade』FromEast(2015年) 、『塔』Satomimagae(2016年)、『don't break my heart』cinnabom(2016年) など。

受賞作品について

井手内創監督、内山拓也監督「青い、森」で、類い希なる存在感を見せつけてくれた波役「野川 雄大」さん、男優賞受賞おめでとうございます。この賞は今回から新設しましたので、栄えある初代・男優賞です。激戦となりましたが、多くの審査員が票を投じられた結果です。

昨年の第1回の審査を終え、弊社クリエイターより「あの予告編の役者さんをキャスティングしたい」という声が上がったことがあります。また某TBSの某植田プロデューサーより「立派な役者プレゼンの場になっているから、俳優賞を作った方がいいですよ」とのアドバイスを受け、少し悪乗りで始めた賞なのですが……。

野川さんも、受賞されて喜んでいただけるのか定かではありませんが、オフィスクレッシェンドの気持ちとして受け取っていただければ幸いです。チャンスがあれば、ぜひ、お目にかかりたいです。

野川さんに、輝ける未来が訪れますように……。

神 康幸
(「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」事務局リーダー
株式会社オフィスクレッシェンド取締役副社長COO)

MI-CAN 女優賞

賞金10万円

MI-CAN 女優賞
作品タイトル
終点、三宅島
応募者/監督
  • 遠藤 広隆
橋下 澄美役/徳永 えりさん
徳永 えりさん
受賞者コメント

この度MI−CAN女優賞を受賞したと聞き、喜びと同時に大変驚きました!

はじめは予告編だけの内容でどう役をつくっていけばいいのかと不安になりましたが、ガイドが少ない分その瞬間感じたことをそのままださせてもらったので、撮影はとても楽しかったです。

作品のグランプリを取れなかったのは残念ですが…私自身とても貴重な経験をさせていただき、まさかの賞までいただき、本当に嬉しいです。ありがとうございました!

プロフィール

1988年生まれ。大阪府出身。ファッション雑誌『ピチレモン』の準グランプリを獲得し専属モデルとして活躍した後、2004年に女優デビュー。以後、映画、ドラマ、舞台と数々の作品に出演する。2006年には映画『放郷物語 THROWS OUT MY HOMETOWN』で主演を果たした。ほか、映画出演作品に『フラガール』(2007年)、『春との旅』(2010年)、『マンガ肉と僕』(2016年)など。『春との旅』では、第65回毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞と第20回日本映画批評家大賞 新人女優賞を受賞。舞台出演作品に『ファントム』(2008年)、『ワルシャワの鼻』(2010年)。ドラマ出演作品に『梅ちゃん先生』(2012年NHK総合)、『心がポキッとね』(2015年CX系)、『わろてんか』(2017~2018 年NHK総合)をはじめ、2018年4月よりドラマ10『デイジー・ラック』(NHK総合)、ドラマBiz『ヘッドハンター』(TX系)がスタートする。今、大注目の実力派女優。

受賞作品について

遠藤広隆監督「終点、三宅島」で、迫真の演技で挑まれた橋下澄美役「徳永えり」さん、女優賞おめでとうございます。初代受賞でございます。男優賞よりも、さらに激しく有力候補がぶつかり合いましたが、徳永さんのオーラが審査員の心を打った結果です。

逃げ込んだ三宅島の納屋。少女と知り合い、つかの間の平和を得たものの、どうやら殺人鬼のような男に追跡され。緊張感溢れる恐怖の醸造、また男と最終決戦を挑む決意の眼差し、すべてに魅了されました。

男優賞と同じく、果たして喜んでいただけるのか疑問だらけではございますが、受け取っていただけば、これほど嬉しいことはございません。

三宅島まで行かれ、渾身のエネルギーを予告編にぶつけていただいたこと。これはMI-CANに勲章を与えていただいたと思います。ありがとうございました……。

神 康幸
(「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」事務局リーダー
株式会社オフィスクレッシェンド取締役副社長COO)

審査員特別賞

賞金5万円

審査員特別賞
作品タイトル
終点、三宅島
応募者/監督
  • 遠藤 広隆遠藤 広隆
受賞者コメント

審査員特別賞、ありがとうございます。

講評を読めば読むほど、悔しい気持ちがこみ上げてきますが、「終点、三宅島」をここまで評価して頂いたことに感激しております。

この賞は、ハードスケジュールの中、文句一つ言わずついてきてくれたキャスト・スタッフのみなさまのおかげです。本当にありがとうございました。

三宅島は素晴らしい場所です、是非足を運んでみてください。

来年はグランプリ、獲ります。

受賞作品について

惜しい、惜しい……。グランプリ受賞の「猿楽町で会いましょう」と並び、実は、ほぼ満票に近い評価だったのです。

三宅島というローカル性。MI-CANの応募作の中ではレアなサスペンスもの。美しく謎めいた女性と純真な少女。熱帯雨林と殺伐とした火山地形。センス溢れる編集と音楽。この物語は、一体、どこに行き着くのか。正に「終点」が気になってしょうがなく、エンタテインメント性も抜群だったと思います。

各審査員の評価はもちろんのこと高く、審査員特別賞を受け取っていただきたいと思います。遠藤広隆監督、ぜひ、次回も応募をお待ちしております!

「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」事務局リーダー
 株式会社オフィスクレッシェンド取締役副社長COO
 神 康幸

最終審査員による総評

岡田 惠和

脚本家岡田 惠和

「青い森」「高円寺えれじい」「猿楽町で会いましょう」の三本に高い得点を入れました。 個人的な趣味だと思います。すみません。テレビドラマの脚本家なので、ストレートなものを好むのかもしれません。

「青い森」は垣間見える役者たちの顔がなんだか良かった。この人たちの話をちゃんと観てみたいと思いました。旅する青春映画の気持ち良さも感じました。ちゃんと生きてる人たちの息遣いみたいなものがある気がしました。よくある話なのかもしれないけど、そこもまたよし。

「高円寺えれじい」 バイオレンスはどの程度出てくるのか、なくてもいいんじゃないかという不安はあるものの。これもまたいい感じで中途半端な人たちがちゃんと描かれてる気がしました。ちゃんと笑えそうでいいなと思います。ダメな奴が頑張る話は好きです。

観てみたいです。

「猿楽町で会いましょう」 特別なことが起きない感じが素敵です。どこにでもある、どこにでもいる人たちの話をちゃんと見つめているし、飾り立ててない気がして好感持ちました。そういう作品をつくる人たちを応援するのも自分の役割かなと思っています。

頑張ってほしいなと思いますし、今後が楽しみです。

今回も16篇、楽しく見せていただきました。皆凄いなと思います。

このつくり手たちの中から、新しいスターが生まれることを期待します。

つくり手の名前、役者の顔、覚えておこうと思います。

井上 伸一郎

株式会社KADOKAWA
代表取締役専務執行役員
井上 伸一郎

「未完成映画予告編大賞」今年も魅力的な作品がたくさん集まりました。

青春物、家族愛物、サスペンスにモキュメンタリ-まで幅広いジャンルの作品を審査するのは難しいながらも楽しい作業でした。

個人的には遠藤広隆さんの「終点、三宅島」が予告編としての完成度が最も高いと感じました。重要参考人として報道されている女性が、実は何者か(どう見ても警察ではない男)に追われているという設定。なぜか女性を匿う女子小学生。迫る危機。カット割りや構成が実に上手く、サスペンスを盛り上げています。「本編を観たい」気にさせる作品でした。

土山晃憲さんの「高円寺えれじぃ」、児山隆さんの「猿楽町で会いましょう」も各々作品に誘い込むテクニックがありました。

映像の美しさやテーマの崇高さを感じさせる作品は他にもありましたが、あくまで「予告編」としての出来を重視して審査させていただきました。

植田 博樹

株式会社TBSテレビ
制作局ドラマ制作部
プロデューサー
植田 博樹

「やりたいことのある人は、すべて尊くて、とても眩しい」

今回の選考に当たって、まず、ずしんと受けた印象です。と同時に、それぞれの作品に込められているクリエイターの方たちの凄い熱量が、審査する側、される側の領域を超えて、僕に問いかけてきました。

「お前は本当に作りたいものを作っているのか。惰性で作ってんじゃねえぞ」と。


たまたま今回は選ぶ側にいるのですが、地上波やネットで作品を作るたびに、今回の熱い応募者の方たちに厳しく問われているのだということを昨年に続き、強く強く思い知らされました。

現状、未完ではありますが、既にこの時点で第一線の演出家の人も複数いらしたし、粗削りだが、物語の最後までを、どうしても観たい作品も多くありました。

具体的には「トウキョウドキュメント,」は、企画力で僕なんかより圧倒的に勝っていると感じましたし、許されるならば、この企画を自分と共に作ってもらいたいと思いました。

「猿楽町で会いましょう」「ヒノのヒゲとレインコート」「シンセカイ」などは、僕には作れない、又は、発想し得ない制作者の「オリジン」を感じました。


今回、俳優さんたちも選考の対象ということですが、作品全体としていい役者がそろっているなと感じた作品は、先に挙げたもの以外では「高円寺えれじぃ」「木屋町ピックアップアーティスト」「終点、三宅島」「コミューン大森へようこそ」などです。演出力なのかキャスティング力なのか、いずれにせよ、作り手の「意図」に対しての敬服を俳優賞の選考に託しました。


今回、選びきれなかった作品の中にも零点をつけた作品はありませんでした。発想し、ここまで作りあげた、という両方のエネルギーに満ちた皆さんに、敬服し、嫉妬し、とはいえ、うかうか簡単には負けてられないぞ、という勇気と意地を、ぐいぐい掻き立てられました。

グランプリに選ばれなくても、何かの機会まで、この「種」を温め続けて欲しいと思います。


皆さま、本当にありがとうございました。

川村 元気

東宝株式会社
映画プロデューサー
川村 元気

iphoneで見栄えの良い映像が撮れて、youtubeに面白い動画が溢れるなかで、映画はなにを目指すべきなのだろうかと改めて感じました。つきつめると、スクリーンのなかに魅力的な人間と物語があるかどうか、というところになる気がしました。それはきっと予告編という短い尺の中でも充分に感じることができるのではと。その観点で、「川崎夫婦チルドレン」「終点、三宅島」あたりには続きを見てみたいと思わせる力があったように感じます。

伊藤 さとり

映画パーソナリティー伊藤 さとり

予告とは、限られた分数の中で、ストーリーを想像させ、好奇心を持たせ、その目で映画を確認したいと思わせるかが、大事です。

ですから、まず第一に、作品のテーマが予告編から匂わないといけない。

今回の作品陣は、ご当地ものが多く、狭い世界で展開されるイメージが湧いてしまい、ミニシアター系を撮る監督だろうとまで、思わせてしまい、少々勿体無いとさえ思いました。

ですからSF色の強い「ユリア」や「千の言葉と終わりの叫び」は、その点、メジャー映画を撮れる可能性が見え、創造力に長けていたと思います。

友との別れ、恋愛を通して、人の成長に焦点を当てて綴るのはもちろんなのですが、そこに囚われすぎると世界観が狭まってしまう。

もっと奇想天外でいいし、テロップやナレーションに頼らずに、画の力で見せて欲しいと感じました。

キャラクターが魅惑的であった「猿楽町で会いましょう」は、しっかりとテーマが画に現れていて、若者の心の穴を覗き込み、現代社会に訴える作品なのかもと期待し、演出も編集も、好奇心を煽るものでした。

更に「終点、三宅島」では、これはサスペンスなのか?はたまたホラーなのか?と感じる顔が影で見えない男の登場、小さい女の子と逃走中の女性の関係が深まるところまで、画で想像出来、素直に見てみたいと思えた作品でした。

堤 幸彦

映画監督・演出家堤 幸彦

最終選考16作は、とにかくエッジが立っていてどれも力作だ。

テーマ、場所選び、ストーリーがそれぞれ強いので、正直相当悩んだのであった。

撮影テクノロジーの向上はもはや日常的なのか?

我々が何十年も見つけたかった“カット”がそこに大量に存在していて驚く。

役者もプロアマの判別がつきにくいほど存在感が際立つ。

高円寺、川崎、三宅島、沖縄などの地域性もその『地の利』に甘えることなく向き合っていて勉強になる。


どれも作ってほしい(笑)

大根 仁

演出家大根 仁

昨年に引き続き、モラトリアム青年や地方都市の行き詰まった人間関係を描く作品が多かったので、そのテの作品は意図的に外しました(笑)

半径の狭い世界を描くには、その1億倍の発想と映像力が必要だと思います。

そういう意味で選んだ3作品(「ヒノのヒゲとレインコート」、「猿楽町で会いましょう」、「千の言葉と終わりの叫び」)は、その可能性を感じました。

平川 雄一朗

演出家平川 雄一朗

今回も様々な感性を感じられ、同じ映像作品に携わるものとして刺激をもらいました。正解がない世界で、自分を信じて疑いながら、周りの人達と力を合わせ一つのものを作り上げ、見る人達を楽しませてくれる作品をこれからも沢山見たいなと思わせていただきました。残念ながら、興味を持てなかった作品も多々ありましたが、それは人それぞれの感性なので、これからも諦めずに物作りしてほしいです。

小原 信治

作家小原 信治

50作品すべてに作り手の方々の〈強い初期衝動〉を感じ、敬服しました。作品のスケール感含めて、昨年以上に力作揃いだったような印象です。あえて残念だったことを探すとすれば(探す必要もないのですが)、テーマのひとつである「地域」に関する新たな視点・発見(こんな場所があるんだ、とか、あの土地をそんな風に描けるんだ)が薄かったことでしょうか(僕なんかが偉そうにすいません)。惜しくも一次審査を通過しなかった作品では「喜志サイダー」「池袋外国語講座」「これが本当の人生相談いちかわ市店」「僕たちが大人になったころの六角橋」がもっと観てみたいと思いました。

「未完成映画予告編大賞 MI-CAN」事務局リーダー
 株式会社オフィスクレッシェンド取締役副社長COO
神 康幸

第2回「未完成映画予告編大賞〜MI-CAN」各賞発表の日がやってきました。

グランプリ「猿楽町で会いましょう」を作っていただいた児山隆監督、おめでとうございます。エントリー205作品の頂点に、見事に立たれました。美しいショットの連続、真に迫った役者さんの演技に、拍手を贈りたいと思います。弊社クリエイター、外部審査員からもまんべんなく高評価を受けられ「小原信治賞」とダブル受賞となりました。また受賞には至りませんでしたが、主演を務められた石川瑠華さんは審査員から注目を浴びました。児山隆監督には、今後、MI-CAN事務局のメンバーと映画化に向かって疾走していただくことになりますが、よろしくお願いいたします。

最後までグランプリを競うことになったのが遠藤広隆監督の「終点、三宅島」でした。審査員からの熱い支持がありましたので「審査員特別賞」を受けていただきたいと思います。息を飲むようなサスペンス、謎めいた三宅島の風景、見事でした。主演を務められた徳永えりさんが「MI-CAN女優賞」に選ばれましたので、これまたダブル受賞です。

際立った個性で日本の映画界に挑み続けている弊社映画監督3名は、やはりそう来たか!と膝を打つセレクションを行ってくれました。

高円寺を舞台に、しがないバンドマンのペーソスを事件性たっぷりに描いた、土山晃憲監督の「高円寺えれじぃ」が「堤幸彦賞」。女子高生と引きこもり男の隠されたフェティシズムをコミカルに追求した八幡貴美監督の「ヒノのヒゲとレインコート」が「大根仁賞」。東北に向かっての男たちの旅路をワイルドかつ静謐にロードムービーに仕上げた井手内創監督・内山拓也監督の「青い、森」が「平川雄一朗賞」。今回はダブル受賞が目立ったのですが、「青い、森」で主演を務められた野川雄大さんが「MI-CAN男優賞」栄冠を射止められました。

前年度でも書きましたが、「未完成映画予告編大賞〜MI-CAN」というコンテストは、応募者の方の熱が「完成」させてくれるものなのだと、改めて実感しました。応募、本当にありがとうございます。心より、皆様の健闘に感謝いたします。

MI-CANは、審査において何の束縛も受けていません。年齢も、性別も、所属も国籍も全く気にせず、3分間というミニマム・エンタテインメントに、どれだけ心を動かされるか、それのみに集中して審査を行っています。

おかげさまで、MI-CANも、第3回目開催に向かって歩みを始められそうです。ぜひ、爆発力ある企画で、思いの丈をMI-CANにぶつけてください。開催予定は、後日、このサイトで発表いたします。皆様の力作と、また出逢える日を夢見て……。

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