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2016/10/19

【制作スタッフコメント#2】撮影監督・岩永洋さん

「未完成映画予告編大賞」PVも担当された撮影監督・岩永洋さんのコメントが届きました。

今後も制作現場の様々なスタッフさんからのコメントをシリーズでお送りします(予定)!!


【撮影監督】岩永 洋さん(30)

 

東京都出身

近年の担当作品:映画「サッドティー」、映画「アイドル・イズ・デッド」シリーズ、映画「かぐらめ」、映画「知らない、ふたり」、映画「黒い暴動♥」、ドラマ「SHIBUYA 零丁目」、ミュージックビデオ「明日への手紙」 他

 

Q:お仕事内容

監督のイメージを汲み取りつつ映像面の設計をして、各部署と相談しながら芝居を撮って行きます。

作品にもよりますが、撮影後、(監督の方で)編集された映像の色の仕上げ迄担当します。

 

Q:今のお仕事に就く迄

高校卒業後、日本映画学校(現・日本映画大学)に入学。撮影・照明コース卒業。在学中から自主制作映画を撮っていて、卒業後もフリーで撮影部をやりながら自主制作を続けていました。それらの作品を出品した映画祭(ぴあフィルムフェスティバルなど)で出会った監督たちと交流する中で少しずつ撮影監督の仕事をするようになり、今に至ります。

 

Q:お仕事上で大変なことや課題は?

監督の演出意図や脚本の意図を汲み取ることがとても重要で、そこから芝居や作品のテーマがよりひきたつように、光と陰を使って表現していくことが常に課題だと思っています。カメラのボタンを押せば誰でも撮れるものを、撮影と照明の技術を駆使してどう表現していくか。

大変なことは、チームワークと人材確保です(笑)。映画だと撮影助手としてチーフ、セカンド、サードがいて、そこに照明部がいてと、それだけの人が関わっているので「チームワーク」がとても重要です。「人材確保」というのは本当に人がいないので(笑)。今はドラマも映画のスタッフ構成とあんまり変わらないので、人数が要りますし、CM以外にもweb用途の映像の数も増えているのでそこに人材がもっていかれているようでして。それも課題です(笑)。

 

Q:お仕事上で楽しいことややりがいは?

現場で役者が監督の演出を受けて段取りをして、その芝居の空気を見て、(カメラを通して)どういう心情的な距離感で伝えて行くかとアングルを考えるんですが、それを生で感じられることは贅沢で楽しい。そうして撮っている時の感覚、視点は役者に近いんじゃないかなと思っています。

 

(役者に近いとは…?)

役者がシチュエーションと役柄を咀嚼し、実際の自分とは違う「役」を演じる。その芝居を受けて反射神経で撮っている感覚の時もあれば、こちらの映像的な表現の為のカメラワークに対して役者に反応してもらったり、合わせてもらったりすることもある。スタッフも芝居をさせられている感じというか…。現場の生の反応というか相性というか。その瞬間瞬間を捉えていかなければいけない。とてもフィジカルな仕事だと思います。

それと自分は自主映画の流れで知り合ったスタッフや役者とやって来たので、スタッフも役者もフラットでいる感覚が強いのかもしれません。

 

そんな風にとても「生もの」的に作って行ったものが、結果として作品になっていくことも面白いです。

 

Q:今後やってみたいことや目標は?

撮影監督としては、(自主制作映画等の)規模が小さかったものがちょっとずつ大きくなって来ていて、まだ狭い範囲で作ってはいますが、もっと照明や特機など、映すものと映るものに対しての意識を大きく持って撮影して行きたいです。

 

監督としては、エンタメ作品、面白い映画を撮れる人になりたい(笑)。でも自分が演出するということと、撮影をするということについてはあまり拘りはないんです。20歳ごろに自分の作品を撮っている時は漠然と監督になるものだと思ってたんですけど、映画作りを色々やって来て、また色んな監督と仕事をしてきた上で、自分が昔映画を見て何を面白がっていたかを考えると、(演出やストーリーテリングというより)「映像」を見て面白がっていたフシが強かったと思うので、撮影は自然に興味と熱意をもってやれることなんで、全く苦じゃないんです。

 

Q:子供(小学生・中学生)の頃の夢は何でしたか?

(小学生の時)漫画家かゲームクリエイター。

 

Q:どんな子供でしたか?

小学校の卒業文集では、「音楽が鳴り出したら踊り出しそうな人」1位でした。お調子者だったみたいです(笑)。

高校の時は腰パンしてるようなチャラい感じでした(笑)。でも18歳の時に母親が亡くなって変わった。やるならやらないと、と。社会に対して親というフィルターがなくなって、チャラチャラしてられなくなったので(笑)。

 

Q:座右の名は何ですか?

「肩の力を抜いて、手を抜かない。」

 

所ジョージさんが新聞のコラムで書いていた言葉です。それまでわりと生真面目にやってたんですけど、それだと下の子達の肩にも力が入るだけだし。表現をする仕事ってただ真面目にやってれば良いわけじゃないので、それを読んでとても腑に落ちました。まあ、ピリピリ感を無くそうと数年かけてやっと板に付いて来た感じです(笑)。

 

Q:好きな映画は何ですか?(ベスト3)

今思い浮かぶ好きな3作品です。

「インターステラー」(クリストファー・ノーラン監督)

「オアシス」(イ・チャンドン監督):

「スプリング・フィーバー」(ロウ・イエ監督)

 

Q:子供の時や学生時代にやっておけばよかったこと、やっていてよかったことなどありますか?

勉強(笑)。映画の勉強も含めて、学生時代の時間がある時にもっとやっておけば良かったです(笑)。

 

Q:好きな上司・先輩はどんなタイプですか?自分はそうなれそうですか?

自分は一般的な撮影部の「助手」経験がほとんどなく(上司・先輩を持たずにやって来たので)、今、自分が助手を持つようになった時にお手本に出来る人がいないというのはありますが、「こうあるべきかな」と思うのは、「上司らしい」とかでなく、仕事を楽しんでいるけど、きちんと締める時は締める、ちゃんと作品に向き合える人でいることかなと思っています。

 

Q:どんな人がこのお仕事に向いていると思いますか?

適当にマジメな人。

マジメ過ぎると続かないし、テキトーだと続かないし(笑)。技術部としての責任も持たないといけないので。

柔軟性は大事ですね。

 

Q:「未完成映画予告編大賞」PVでの作業のポイントは?

「未完成な私たち」:色合いやフィルターワークや絞りの設定等で情感を持たせること。映像としての質感を持たせることは常に気を付けています。

 

「ボクと彼女と、そしてボク」:コントは初めて撮りましたが、こっちは逆にそいういうもの(情感)が無い方が面白いと思ってやっていました。2カメで舞台を見せるのに近い撮り方をしました。コメディやユーモアのある作品もやりますが、撮影的にはあまりやり過ぎないようにしています。笑いって難しいですね。

 

Q:「未完成映画予告編大賞」応募者へのメッセージなど

まだまだエラソーなことは言えないので……、僕にお仕事ください(笑)。

 


 

 

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