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2016/11/17

【制作スタッフコメント#3】作曲・小野川浩幸さん

映画音楽の作曲を中心に、録音、音響効果の他、映画のプロデュースもされている小野川浩幸さんのコメントが届きました。

「未完成映画予告編大賞」PVでは録音を担当された方です。

今後も制作現場の様々なスタッフさんからのコメントをシリーズでお送りします(予定)!!


【作曲・映画プロデューサー】小野川 浩幸さん(53)

 

出身地:長崎県

主な担当作品:映画「五条霊戦記 GOJOE」、映画「ELECTRIC DRAGON 80000V」、映画「鏡心-kyoshin-」、映画「童貞放浪記」、映画「さよならドビュッシー」、短編映画「いなべ」、映画「さようなら」、映画「淵に立つ」 他

 

Q:お仕事内容

映画音楽の作曲を中心に活動し、映画のプロデュースの仕事もしています。

作品によって違いますが、自ら作品プロデュースした「さようなら」(平田オリザ原作・深田晃司監督)は音楽(作曲)・録音・効果・MIXまで担当しました。最近はそのような形も多くなって来ました。

 

Q:今のお仕事に就く迄

友人に勧められて大学(商学部経済学科)4年の時にアンドレイ・タルコフスキー監督の「ノルタルジア」を見て、その音楽性に衝撃を受け、映画音楽の道を志しました。それ迄まったく音楽に触れてこなかったのですが、そこで初めてPCを買って独学で始めました。

大学卒業後も、25歳くらいまでの間にバイトしながらひたすら映画を見ました。その頃はジム・ジャームッシュやピーター・グリーナウェイなど、ミニシアター系の作品がブームでした。とにかくカルトな映画ばっかり見てましたね。

初めての音楽での仕事は福岡のTVCM曲の公募作品でした。それから2年程福岡でTVCMを中心に、ショーの音楽や劇団の音楽などを作っていました。その後東京の音楽制作会社に入ったんですが半年で辞めて、25歳〜28歳までフランスに留学しました。

 

その頃はいつも色んな人に「映画をやりたい」って言ってたんですけど、29歳ぐらいの時に、「アジアフォーカス・福岡国際映画祭」のOP映像を作りに来ていた石井聰亙(現・石井岳龍)監督と飲み屋で会って意気投合して。(インディーズ界の旗手と言われ、当時すでに国内外で高い評価を得ていた)石井監督のことをその時は何者か知らなかったんですけど(笑)。

石井監督の「水の中の八月」(1995年)が自分の映画音楽のデビュー作です。それからTV版「私立探偵 濱マイク」含め、映画は「鏡心-kyoshin-」(2005年)まで10年ぐらい石井監督の音楽を担当しました。

 

Q:お仕事上で大変なことや課題は?

毎回、監督によって演出もやり方も変わるので、まずは監督自身を理解することに時間が要ります。(音楽を担当する時の自分のやり方としては)脚本を貰って、そこで初めて今回の作品のメインの楽器を何にするかを決めたいので、敢えて特定の楽器は演奏しないことにしています。いつも作曲に使っている楽器があるとそれに縛られてしまうことがあるので。

 

(なぜ録音や効果なども手がけるようになったか?)

最初は音楽(作曲)だけだったんですが、音楽は効果(音響効果)との絡みが大きいので、自分でも効果をやり始め、そのうちMIXも始め、そのうち録音もやるように。(※録音技師は映画の仕上げの際に音全般〈台詞・音楽・効果〉の音量や聞こえ方等を監督に提案出来る裁量権があります)

それは、台詞等の音声の他、外や屋根裏の軋みとか、現場の空気感を生むノイズまで作品全部の音をコントロールしたくなったからです。

 

Q:お仕事上で楽しいことややりがいは?

とはいえ、(自分の拘りで現場を動かすことは)普通は難しいので、自分がプロデュースした「さようなら」という作品では色んなところにマイクを立てて実験しました。

「誰も住んでいない町を自転車で走る」シーンを表現するのに、特別に許可を貰って福島県の浪江町の制限区域で無人の空気の音を録って来ました。都内の早朝の静けさなんかとそれはあきらかに違うんです。その作品では風の音だけで100種類使っています。そこでは「地球が終わるよ」というのを表現したいと思って。風がうねっているところだけを編集してつなぎ、メロディのようにして使いました。効果音も音楽も自分の中では一緒です。

 

興味を持ったところにシンプルに動いているだけなんですけど、何でももう一歩、もう一歩と進めていると見えて来るものがあって。納得するまで追求することは楽しいですね。作品を作る上で、僕の中では音も映像に付随するものではなく同じぐらい拘りたいものです。

 

Q:今後やってみたいことや目標は?

今年はフランス映画の音楽をやりたいと思っています。

「淵に立つ」という作品はフランスで助成金が出たので、荒編までは日本でやり、その後のポスプロはフランスでやったのですが、その時に音の違いを感じて。音楽のレコーディングの一週間前に渡仏したんですが、向こうの人と話したり、街の景色を見たりしている内に、日本で一ヶ月かけて作曲していたものが何か違うな、日本ぽいな、と思って全部ボツにして、フランスに行ってからで3日で作曲し直しました。

オーケストラにも2〜3週間前に渡していた楽譜から当日違うものに変えて大揉めしたんですが、理解してくれたバンマスがいて、何とか録音出来ました。でもその後、カンヌ国際映画祭で(その時ケンカした奏者と)再開したら「ソーリー」って(笑)。やっぱやって良かったね、と声をかけられました。あの時引かなくて良かったなと思いました(笑)。

 

それと、今シノプシスを書いていて、来年映画監督として作品を撮りたいと思ってます。

 

Q:子供(小学生・中学生)の頃の夢は何でしたか?

高校生まで格闘家になろうと思っていました。小学生の頃から始め、空手(黒帯)・柔道(黒帯)・少林寺拳法(黒帯)・キックボクシングをやっていました。本当に強くなりたかったから。外国に行っても負ける気がしない(笑)。

 

Q:どんな子供でしたか?

好きな事しかやりたくない子。思いっきり格闘技をやってましたが、でもケンカすることはあんまりなくて、不良でもなかった(笑)。

 

Q:座右の名は何ですか?

運と縁が95%。努力は何の役にも立たない。分析と準備が必要。

 

Q:好きな映画は何ですか?(ベスト3)

アンドレイ・タルコフスキー作品(「ノスタルジア」、「サクリファイス」)

ジム・ジャームッシュ作品(特に初期)

ビクトル・エリセ作品(「ミツバチのささやき」)

 

以前、ジャームッシュにデモを渡したので、いつオファーが来るのかなと思ってます(笑)。

今、彼が組んでいる人より僕の方が合うと思う(笑)。

 

Q:子供の時や学生時代にやっておけばよかったこと、やっていてよかったことなどありますか?

英語!

 

Q:好きな上司・先輩はどんなタイプですか?自分はそうなれそうですか?

ひとりでやってきたのでそういう経験がないのですが、今僕と一緒にやっている若い人には、(上司や先輩等に縛られず)自分の好きな方法を見つけることが一番だと思っています。

 

Q:どんな人がこのお仕事に向いていると思いますか?

体力がある人。あとは人の話を聞かない人(笑)

 

Q:「未完成映画予告編大賞」PVでの作業のポイントは?

PVでは録音・整音・MIXを担当しました。現場の同時録音のセリフももちろん大切ですが、自分は現場の空気感を表現する為には現場のノイズを大切にしています。

 

Q:「未完成映画予告編大賞」応募者へのメッセージなど

とりあえず応募してみたらいいんじゃないかと思います。自分の手を離れると作品が勝手に自分を営業してくれて、自分を救ってくれると常々思っているので。どんな小さい映画でも見てる人は見ています。あきらめる必要も力を入れる必要もなくて、とにかく一本作って出すことが最重要だと思います。

 

それと、映画への幻想かもしれないけど、映画作りは、あらかじめ決められたことじゃなく現場でみんなが意見を出して作品の内容・クオリティに向かっていられて、ケンカもできるし集中もできる。その経験を味わって欲しいなと思います。

 


 

 

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